2009.09.22 観察してみる (スタート編)
今年の国体、女子50mFr決勝の様子。
主役は5コースの白いキャップのちょっと大柄な選手。
当たり前と言えばそうですが、このプール、スタート台もタッチパネルも我らがホームプールと同じ製品なので、妙な親近感が湧きます^^
さて、
5コースの選手と6コースの選手はスタートがグラブスタイルですが、4コースの選手はクラウチング(トラック)スタイルです。
4コースの選手はスタートの合図から踏み切りの右足が台から離れるまでのレスポンスタイムが明らかに早いです。 6コースの選手より約0.07秒、そして5コースの選手より約0.13秒早く足が台から離れています。
飛び出しの際、4コースの選手は重心が少し上へ向かっているように見えます。 これはオイラの目の錯覚かも知れません。
5コースの選手は飛び出しの向きはほぼ水平方向な感じですね。 6コースの選手も単独で見ると水平な飛び出しっぽいですけど、5コースの選手と較べると、やや下向きに飛び出しているようにも見えます。
これは単に6コースの選手のジャンプ力がちょっと弱く、遠くへ跳ぶ力が弱いため、早く落ちてしまうという考え方もあります。
なので、6コースの彼女が一番早く入水します。 そう言いつつも、オイラの主観では空中での姿勢は6コースの選手が一番キレイに見えます。
6コースの選手は足が台から離れた約0.2秒後、3.1m辺りの箇所に指が水に入ります。
おそらく次に入水が早いのは4コースの選手ですが、残念ながらその瞬間が画像に映ってません。 しかし、非常に気になるのは入水時の体の角度と姿勢です。 映ってないけどおそらく入水した時にちょっと背中が反ってるし、少し角度が立ちすぎてるのではないか、と。 少なくとも5コース、6コースの選手よりずっと角度が急です。
踏み切るときに後ろの脚をポンと高く跳ね上げるようにするのもクラウチングスタイルの特徴の一つですが、この動作によって、重心より足先が高く上がりすぎる傾向がある感じもします。
また、片足での踏み切りなので、当然両足踏み切りより水平方向への飛び出し速度、つまり飛距離が落ちます。 水平より上へ向いて飛び出せば、それも急角度で水面に刺さる事の原因の一つとなりそうです。
5コースの選手の指先が水面に触れるのは、彼女の足が台から離れて0.28秒後、約3.7mです。
6コースの選手に較べて0.08秒長く空中にいて、0.6m遠くへ入っています。 この時、6コースの選手はもう腰くらいまで水に入っています。
6コースの選手の空中での姿勢がキレイに見えると書きましたが、必ずしも一点入水ではありません。 まず、ストリームラインに組まれた指先が水に触れるより心持ち早く、ほんの少しですが、くいっと上方に持ち上げられてます。 さらに頭頂部が入水した箇所より、足先の入水地点の方が若干スタート側に寄ってます。 オイラの見立てでは20~30cm程度ですけども。 指先の入水地点から見ればもうちょい多目に後方です。
5コースの選手は空中姿勢が少し強めな「への字」になってます。 それがイメージとしての放物線に乗っているかと言うと案外そうでもなく、6コースの選手よりもう一段階、全体としては体の角度が浅いように見受けられます。 しかし、水面に近づくにつれ、イメージ放物線に体のラインが乗ってくる感じですけれども、どうも最後まで浅い傾向のダイブとなったように見えます。
ただ、手の指先から腰までの部分の線形はそりゃもうお見事としか言いようがない美しさで、しかもその部分に関しては6コースの選手より体が成すラインは角度が急で、腰まではほぼ一点入水です。
ところが、腰から下は少し残り気味なイメージでして、足先が水中へ没するのは指先の入水地点より1mくらいもスタート台寄りに見えます。
当然の事ながら、腰までは一点ダイブですから、腹打ちなんかじゃありませんけど、強いて言えばちょっと「脚打ち」・・・?と言えるのではないでしょうか?
なので、5コースの選手の上げる飛沫は6コースの選手のそれよりずいぶん派手に飛び散ってます。
4コースの選手の飛沫は、実は意外と小さいんです。 6コースの選手より小さい。
すごく体が立っているように見えましたが、イメージの放物線に乗るという作業は、彼女が一番正しくできているのかも知れません。 つまり、水平方向への一定の速度と重力加速度のバランスを最も体で理解できていると言えるのかも知れません。
もちろん、5コースの選手は体格が他の選手よりずいぶん大柄なので、その分は差し引いて観察してあげないと不公平な気もします。
当然の事ながら、入水した時の角度のままでは、浅めにエントリした5と6コースの二人でも、ボトムに激突はしなかったかも知れませんが、ムダに深く潜ってしまう事になるので、すぐさま組んだ腕を引き上げてゴールの壁方向へ姿勢を調整します。
既に書きましたが、そのタイミングが6コースの選手はちょっとだけ早すぎるようにオイラには見えます。
ダイブ後のけのび姿勢を保っている時間は三者とも非常に短いですね。 オイラの感覚ではもう少しじっとしてた方がお利口な気がしますけど、このレースも半フリのナショナル・クィーンを決めるレースのひとつですから、当然彼女たちの方が正解なのだろうと思います。
さらに、けのび後のドルフィンキックもせいぜい二発か三発って感じに見えます。 水面下の事なのではっきりとは分かりませんけど。 よく見えないだけで、本当はもっとたくさん打ってるのかも知れません。
どこまでをスタートの範囲にするか、ですけども、 1カキ目のキャッチ動作を始めた瞬間がスタート局面の終了と考えるべきと思います。 しかし、そのタイミングは泳者個人の自由なので、三者を比較できません。
本来は10mとか15mの通過タイムを較べたい所です。 そうでないとスタート技術の巧緻性を語れないと思うんですが、このコースロープは1m毎のシマシマじゃないので判別しにくいです。
仕方がないので三人の中で誰かがキャッチ動作に入った時点をベンチとしてみます。
4コースの選手が台から足が離れて約2.08秒後にキャッチ動作を開始したのが、どうも一番早いようです。
見える感じでは、この時既に5コースの選手が三人の中で最も前へ出ているようです。 5コースの選手は大柄なので従ってリーチも長いですから、なんだか指先の位置を見てどうこう述べるのはなんだか不公平感もあるんですが、タッチパネルは指で押し込むモノなので、そこに突っ込んでも意味がないですね^^
続いて6コースの選手、4コースの選手。
6コースの選手は5コースの選手にそうは遅れてません。 せいぜい20cmとかそれくらいのように見えます。 4コースの選手はかなり遅れてるように見えます。
ここがスタート地点から何mなのかはっきり分かるといいんですけど、ちょっとなんとも言えません。 うーん、ざっと10mくらいでしょうか?
4コースの選手に続いてキャッチ動作をし始めるのは5コースの選手です。 オイラの観察では0.07秒後くらいにアクションが始まってます。 6コースの選手がキャッチ動作を始めるのは、実にその約0.4秒後です。 コマ送りで観察してると、いつまで1stストロークを我慢してるんだ?って見えます。
なんせその時点では4コースの選手は最初の1カキ目のフィニッシュ中です。 あと二コマ後(2/30秒後)にはリカバリに入ってます。
その時の3人の順位、前後の位置関係は、4コースの選手がキャッチ動作を始めた時点と変化はないようです。
自分より遥かに高いレベルの人たちの、たった1レースを見て主観であってもどうのこうのを語るのはあまりにも危険なので、下手な考察を記すのはやめようと思いますが、
台からの足離れが最も遅かった5コースの選手が、およそ10mを通過した頃には、一番前を泳いでいる事とか、
逆に最も台からの足離れが早かった4コースの選手が、最も後ろにいる事とかは、ものすごく興味深く思います。
ひとつだけ考えた事を書きますが、6コースの選手のダイブは、果たして本当にジャンプ力が弱いから飛距離が少ないのか? とか、実はそれは彼女の戦術で、単に遠くへ入水するより、オイシイと思ってるのかも、とか、そこらにも興味が湧くところです。
主役は5コースの白いキャップのちょっと大柄な選手。
当たり前と言えばそうですが、このプール、スタート台もタッチパネルも我らがホームプールと同じ製品なので、妙な親近感が湧きます^^
さて、
5コースの選手と6コースの選手はスタートがグラブスタイルですが、4コースの選手はクラウチング(トラック)スタイルです。
4コースの選手はスタートの合図から踏み切りの右足が台から離れるまでのレスポンスタイムが明らかに早いです。 6コースの選手より約0.07秒、そして5コースの選手より約0.13秒早く足が台から離れています。
飛び出しの際、4コースの選手は重心が少し上へ向かっているように見えます。 これはオイラの目の錯覚かも知れません。
5コースの選手は飛び出しの向きはほぼ水平方向な感じですね。 6コースの選手も単独で見ると水平な飛び出しっぽいですけど、5コースの選手と較べると、やや下向きに飛び出しているようにも見えます。
これは単に6コースの選手のジャンプ力がちょっと弱く、遠くへ跳ぶ力が弱いため、早く落ちてしまうという考え方もあります。
なので、6コースの彼女が一番早く入水します。 そう言いつつも、オイラの主観では空中での姿勢は6コースの選手が一番キレイに見えます。
6コースの選手は足が台から離れた約0.2秒後、3.1m辺りの箇所に指が水に入ります。
おそらく次に入水が早いのは4コースの選手ですが、残念ながらその瞬間が画像に映ってません。 しかし、非常に気になるのは入水時の体の角度と姿勢です。 映ってないけどおそらく入水した時にちょっと背中が反ってるし、少し角度が立ちすぎてるのではないか、と。 少なくとも5コース、6コースの選手よりずっと角度が急です。
踏み切るときに後ろの脚をポンと高く跳ね上げるようにするのもクラウチングスタイルの特徴の一つですが、この動作によって、重心より足先が高く上がりすぎる傾向がある感じもします。
また、片足での踏み切りなので、当然両足踏み切りより水平方向への飛び出し速度、つまり飛距離が落ちます。 水平より上へ向いて飛び出せば、それも急角度で水面に刺さる事の原因の一つとなりそうです。
5コースの選手の指先が水面に触れるのは、彼女の足が台から離れて0.28秒後、約3.7mです。
6コースの選手に較べて0.08秒長く空中にいて、0.6m遠くへ入っています。 この時、6コースの選手はもう腰くらいまで水に入っています。
6コースの選手の空中での姿勢がキレイに見えると書きましたが、必ずしも一点入水ではありません。 まず、ストリームラインに組まれた指先が水に触れるより心持ち早く、ほんの少しですが、くいっと上方に持ち上げられてます。 さらに頭頂部が入水した箇所より、足先の入水地点の方が若干スタート側に寄ってます。 オイラの見立てでは20~30cm程度ですけども。 指先の入水地点から見ればもうちょい多目に後方です。
5コースの選手は空中姿勢が少し強めな「への字」になってます。 それがイメージとしての放物線に乗っているかと言うと案外そうでもなく、6コースの選手よりもう一段階、全体としては体の角度が浅いように見受けられます。 しかし、水面に近づくにつれ、イメージ放物線に体のラインが乗ってくる感じですけれども、どうも最後まで浅い傾向のダイブとなったように見えます。
ただ、手の指先から腰までの部分の線形はそりゃもうお見事としか言いようがない美しさで、しかもその部分に関しては6コースの選手より体が成すラインは角度が急で、腰まではほぼ一点入水です。
ところが、腰から下は少し残り気味なイメージでして、足先が水中へ没するのは指先の入水地点より1mくらいもスタート台寄りに見えます。
当然の事ながら、腰までは一点ダイブですから、腹打ちなんかじゃありませんけど、強いて言えばちょっと「脚打ち」・・・?と言えるのではないでしょうか?
なので、5コースの選手の上げる飛沫は6コースの選手のそれよりずいぶん派手に飛び散ってます。
4コースの選手の飛沫は、実は意外と小さいんです。 6コースの選手より小さい。
すごく体が立っているように見えましたが、イメージの放物線に乗るという作業は、彼女が一番正しくできているのかも知れません。 つまり、水平方向への一定の速度と重力加速度のバランスを最も体で理解できていると言えるのかも知れません。
もちろん、5コースの選手は体格が他の選手よりずいぶん大柄なので、その分は差し引いて観察してあげないと不公平な気もします。
当然の事ながら、入水した時の角度のままでは、浅めにエントリした5と6コースの二人でも、ボトムに激突はしなかったかも知れませんが、ムダに深く潜ってしまう事になるので、すぐさま組んだ腕を引き上げてゴールの壁方向へ姿勢を調整します。
既に書きましたが、そのタイミングが6コースの選手はちょっとだけ早すぎるようにオイラには見えます。
ダイブ後のけのび姿勢を保っている時間は三者とも非常に短いですね。 オイラの感覚ではもう少しじっとしてた方がお利口な気がしますけど、このレースも半フリのナショナル・クィーンを決めるレースのひとつですから、当然彼女たちの方が正解なのだろうと思います。
さらに、けのび後のドルフィンキックもせいぜい二発か三発って感じに見えます。 水面下の事なのではっきりとは分かりませんけど。 よく見えないだけで、本当はもっとたくさん打ってるのかも知れません。
どこまでをスタートの範囲にするか、ですけども、 1カキ目のキャッチ動作を始めた瞬間がスタート局面の終了と考えるべきと思います。 しかし、そのタイミングは泳者個人の自由なので、三者を比較できません。
本来は10mとか15mの通過タイムを較べたい所です。 そうでないとスタート技術の巧緻性を語れないと思うんですが、このコースロープは1m毎のシマシマじゃないので判別しにくいです。
仕方がないので三人の中で誰かがキャッチ動作に入った時点をベンチとしてみます。
4コースの選手が台から足が離れて約2.08秒後にキャッチ動作を開始したのが、どうも一番早いようです。
見える感じでは、この時既に5コースの選手が三人の中で最も前へ出ているようです。 5コースの選手は大柄なので従ってリーチも長いですから、なんだか指先の位置を見てどうこう述べるのはなんだか不公平感もあるんですが、タッチパネルは指で押し込むモノなので、そこに突っ込んでも意味がないですね^^
続いて6コースの選手、4コースの選手。
6コースの選手は5コースの選手にそうは遅れてません。 せいぜい20cmとかそれくらいのように見えます。 4コースの選手はかなり遅れてるように見えます。
ここがスタート地点から何mなのかはっきり分かるといいんですけど、ちょっとなんとも言えません。 うーん、ざっと10mくらいでしょうか?
4コースの選手に続いてキャッチ動作をし始めるのは5コースの選手です。 オイラの観察では0.07秒後くらいにアクションが始まってます。 6コースの選手がキャッチ動作を始めるのは、実にその約0.4秒後です。 コマ送りで観察してると、いつまで1stストロークを我慢してるんだ?って見えます。
なんせその時点では4コースの選手は最初の1カキ目のフィニッシュ中です。 あと二コマ後(2/30秒後)にはリカバリに入ってます。
その時の3人の順位、前後の位置関係は、4コースの選手がキャッチ動作を始めた時点と変化はないようです。
自分より遥かに高いレベルの人たちの、たった1レースを見て主観であってもどうのこうのを語るのはあまりにも危険なので、下手な考察を記すのはやめようと思いますが、
台からの足離れが最も遅かった5コースの選手が、およそ10mを通過した頃には、一番前を泳いでいる事とか、
逆に最も台からの足離れが早かった4コースの選手が、最も後ろにいる事とかは、ものすごく興味深く思います。
ひとつだけ考えた事を書きますが、6コースの選手のダイブは、果たして本当にジャンプ力が弱いから飛距離が少ないのか? とか、実はそれは彼女の戦術で、単に遠くへ入水するより、オイシイと思ってるのかも、とか、そこらにも興味が湧くところです。
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ものすごく細かな観察してますね。
恐れ入りました。
私もハギトモさんのブログに動画がアップされてから、何度も何度も繰り返し見ました。
特にスタートの部分。
どうしたら良いかって聞かれても、オイラには説明するだけの理論もなければ、技術もありません。(笑)
でも、ヒントはありそうですね。